検索1ページ目・AIによる概要に引用、それでもクリック率は2.1% ── 国際特許事務所のホームページで見るSEO・AEO・GEOの点検と改善
東京都港区のA&J国際特許事務所(anjpat.com)は、韓国出身の日本弁理士と日本人弁理士が、日本と韓国の特許・商標・意匠の出願をサポートする事務所です。THEVOSがホームページの制作と運用を担当しています。本記事では、このサイトの検索成果をGoogle Search Consoleの実際の数値で確認し、9月13日の1日で行ったSEO・AEO・GEOの点検と改善作業をご紹介します。
結論から申し上げると、このサイトはすでに検索結果の1ページ目に表示され、Googleの「AIによる概要」に出典として引用されるほど高い評価を受けていました。それにもかかわらず、クリック率は2.1%にとどまっていました。順位だけを見ていては分からない課題があったのです。
1. 3か月間の検索成果
Google Search Consoleで集計された直近3か月(9月12日まで)の数値です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 検索結果に表示された回数 | 5,429回 |
| クリックされた回数 | 113回 |
| 平均クリック率 | 2.1% |
| 平均掲載順位 | 8.5位 |
| 表示された検索語の種類 | 151種類 |
平均掲載順位8.5位は、おおむね検索結果1ページ目の下のほうに表示されているという意味です。特に、事務所の中心となるお客様が入力する「일본 변리사」(日本 弁理士)では平均1.9位と、事実上トップの位置を占めています。
| 検索語 | 表示回数 | クリック率 | 平均掲載順位 |
|---|---|---|---|
| 일본 변리사(日本 弁理士) | 90回 | 6.7% | 1.9位 |
| a&j | 82回 | 6.1% | 2.0位 |
| 디자인 출원 비용(意匠出願 費用) | 2回 | 50% | 12.5位 |

順位だけを見れば申し分ありません。しかし、上位2位にいながらクリック率が6〜7%というのは低いほうです。検索結果を見た10人のうち9人以上が、別のサイトをクリックしているということだからです。
2. Googleの「AIによる概要」はこのサイトを出典に選んだ
9月13日にGoogleで「국제특허사무소」(国際特許事務所)を検索したところ、一番上の「AIによる概要」の横に、出典カードとして「A&J 국제특허사무소 - 홈」(A&J国際特許事務所 - ホーム)が表示されました。カードには事務所のロゴ、代表弁理士の写真、「日韓の知的財産の架け橋」という紹介文が一緒に表示されていました。GoogleのAIがこの検索語に答える際にanjpat.comを信頼できる資料として読んでいるというサインであり、生成AI検索対策(GEO)の最初の成果といえます。

9月14日に改めて検索したところ、出典カードだけでなく、AIによる概要の本文にある「代表的な国際特許事務所の例」にもA&J国際特許事務所の名前が挙がりました。「국제특허사무소 일본변리사」(国際特許事務所 日本弁理士)で検索すると、AIによる概要は韓国語で相談できる代表的な日本の事務所として、A&J国際特許事務所を最初に紹介しました。

通常の検索結果では1ページ目の9番目でした。「국제특허사무소」のような幅広い検索語で1ページ目に入るだけでも良い結果です。ただし、その上には日本の特許事務所が運営する韓国語ページがいくつもありました。「日本に出願したい韓国のお客様」という、A&Jとまったく同じ顧客層を狙う競合です。
ここで一つ注意すべき点があります。この画面には「検索結果はパーソナライズされています」という文言が付いていました。Googleは、検索する人の位置情報や閲覧履歴に合わせて結果の順序を変えます。サイトをよく見ている制作者や事務所スタッフの画面ほど、そのサイトが上位に表示されやすくなります。自分の画面で見た順位が、そのままお客様の見る順位とは限りません。私たちが画面キャプチャではなくSearch Consoleの集計値を基準にしているのは、このためです。
3. クリックを逃していた5つの理由
3-1. タイトル末尾の「홈」(ホーム)
検索結果に表示されるタイトルは「A&J 국제특허사무소 - 홈」(A&J国際特許事務所 - ホーム)でした。末尾の「홈」(ホーム)は検索する人に何の情報も与えず、貴重なタイトル枠を無駄にしています。「日本」「韓国語で相談」「東京」といった、この事務所ならではの強みもタイトルにはありませんでした。サイトの説明文(メタディスクリプション)が空だったため、Googleは本文の業務一覧を切り取って、説明文の代わりに表示していました。
3-2. 「PPH」表示534回、クリック0回
表示回数が最も多い検索語は、意外にも「pph」(460回)でした。特許審査を早く進める制度である特許審査ハイウェイ(PPH)を紹介したページが表示されていたのです。「pph 뜻」(pphの意味、38回)、さらにハングル入力のままpphと打ってしまった「ㅔㅔㅗ」(36回)まで合わせると534回となり、全表示の約10%に達します。平均順位は6位前後なのに、クリックは一度もありませんでした。
これらの検索語を入力する人は、PPHとは何か、どのように申請するのかを知りたがっています。ところが、検索結果に表示されるタイトルと説明文がその疑問に答えていないため、別のサイトをクリックしているものと見られます。PPHを調べる人は、特許出願を進めている、または準備している人、つまり見込み客です。最も惜しい損失でした。
3-3. 費用を調べている人がいる
「디자인 출원 비용」(意匠出願 費用)は表示がわずか2回、順位も2ページ目(12.5位)でしたが、そのうち1回がクリックにつながりました。費用と期間を知りたいという需要は確かにあるのに、それに答えるページがありませんでした。
3-4. 日本語・英語のページが検索エンジンに見えていなかった
サイトには日本語と英語の翻訳がすでにありました。ところが、言語を訪問者のブラウザのCookieだけで区別していました。検索ロボットやAIクローラーはCookieを保持しないため、常に韓国語の画面しか見られません。日本語の画面でも、ページのタイトルは韓国語のままでした。韓国進出を検討する日本企業向けの案内があっても、日本語の検索には表示されようのない構造だったのです。
3-5. サイトマップの半分がエラー
検索エンジンにページの一覧を知らせるサイトマップには224件のURLが載っていましたが、そのうち114件が「アクセス禁止(403)」を返していました。管理者しか見られない相談受付の掲示板のURLまで載っていたためです。Googleは開けないURLを何度も訪れて巡回のリソースを無駄にし、Search Consoleにはエラーがたまっていました。
4. 9月13日に行ったこと
4-1. SEO ── 検索エンジンに正しく読んでもらうために
- サイトマップの整理:誰でも閲覧できるページだけを載せるように変更しました。韓国語・日本語・英語のURL309件がすべて正常に応答します。原因は、サイトを構築したCMSのサイトマップ生成機能が、掲示板の閲覧権限を確認していなかったことにありました。そこで、このサイトだけを直すのではなく、当社のCMS「VosCMS」そのものを修正してリリースしました。同じCMSを使うほかのサイトにも同じ改善が適用されます。修正後、Search Consoleにサイトマップを再送信しました。
- 言語ごとのURL:日本語は
?lang=ja、英語は?lang=enのように言語ごとに固有のURLを持たせ、各ページにほかの言語版の場所を知らせる印(hreflang)を入れました。サイト名、ページ名、掲示板の項目まで翻訳した結果、日本語・英語のURL206件のタイトルから韓国語がすべてなくなりました。韓国語だけで書かれていた古いページ7件は、同じ内容が翻訳されているページへ恒久的に転送(301)し、積み上げてきた評価を失わないようにしました。 - サイトの説明文:韓国語・日本語・英語で新たに書き直しました。韓国語版は、NAVERが推奨する80文字以内に「韓国出身の日本弁理士」「韓国語で相談」「1対1の無料相談」を盛り込みました。
- NAVERへの登録:韓国のお客様は、韓国最大の検索ポータルであるNAVERをよく利用します。NAVERサーチアドバイザーにサイトを登録し、サイトマップの送信と主要ページの収集依頼まで済ませました。
- 共有プレビュー:カカオトークやLINEでURLを送るときに表示される代表画像(1200×630)と、言語ごとのタイトル・説明文を設定しました。

4-2. AEO ── 質問には「答え」で応える
よくある質問10件を、検索エンジンが質問と答えの組み合わせとして読める形式(構造化データ)で記述し、事務所名(言語別)、対応言語(韓国語・日本語・英語)、サービス地域(日本・韓国)も同じ形式で伝えました。今後は「日本で商標を登録する費用はいくらですか?」「日本で特許を出願してから登録までどのくらいかかりますか?」のように、お客様が実際に検索する質問を増やし、答えの最初の一文に金額・期間・手続きの結論を置くよう提案しています。最初の一文に結論がある答えほど、検索エンジンやAIがそのまま引用しやすくなります。
4-3. GEO ── AIが読み、たどれるように
- ChatGPT、Claude、Perplexity、Geminiなど主要AIのクローラーがサイトを読めるかどうかを一つずつ確認しました。すべて正常にアクセスできます。
- AIが読みやすい形でサイトの概要をまとめた案内ファイル(llms.txt)が、ページの追加・修正のたびに自動で作り直されます。
- 言語切り替えボタンが実際のURLではなくスクリプトの動作になっていたため、ロボットやAIエージェントが日本語・英語のページへ移動できませんでした。これを実際のURLへのリンクに変えました。
- 名前のなかったメニューの閉じるボタンとスライダーのボタンに名前を付け、PageSpeed Insightsの「エージェント型ブラウジング」項目(AIエージェントがサイトを操作できるかを見る項目)をすべてクリアしました。
4-4. 表示速度 ── スマートフォンで22秒かかっていた最初の画面
スマートフォンでは、最初の画面が表示されるまでに約22秒かかっていました。原因は大きく3つありました。1つ目に、フォントファイルを完全版でダウンロードしていたため、3.8MBを使っていました。これを必要な文字だけを分けてダウンロードする方式に変え、402KBまで減らしました。2つ目に、デザイン用のCSSを訪問者のブラウザがその場で生成していました。これをあらかじめ作っておいたファイルに置き換えました。3つ目に、最初の画面の大きな写真をWebP形式で軽くし、先に読み込むようにしました。
| PageSpeed Insightsの項目 | 作業前 | 作業後 |
|---|---|---|
| パフォーマンス(モバイル) | 55 | 68 |
| パフォーマンス(デスクトップ) | 70 | 94 |
| SEO | 85 | 100 |
| ユーザー補助 | 85 | 91 |
| 最初の画面の表示(モバイル) | 約22秒 | 約2.1秒 |
| エージェント型ブラウジング | 一部不合格 | 3/3合格 |
点検中には、アクセス解析ツール(Google Analytics)が二重に読み込まれ、同じ訪問を2回数えていたことも見つかり、すぐに修正しました。そのため9月13日以降は訪問数が減ったように見えることがありますが、実際の訪問が減ったのではなく、数字が正確になったのです。こうした変化は事前にお伝えしておかないと、「サイトを直したら訪問者が減った」という誤解につながりやすくなります。
5. 残る課題 ── 順位をクリックに変える
今回の作業で、検索エンジンやAIがサイトを正しく読める土台は整いました。次は、すでに得ている順位をクリックと相談のお問い合わせに変えることです。事務所と一緒に、次の作業を進めています。
- ホームのタイトル変更(9月14日適用):検索結果に表示されるタイトルを「A&J 국제특허사무소 - 홈」(A&J国際特許事務所 - ホーム)から「A&J 국제특허사무소 - 일본 특허·상표 출원 한국어 상담 (도쿄)」(A&J国際特許事務所 - 日本の特許・商標出願 韓国語相談(東京))に変更しました。日本語・英語の画面のタイトルにも「日本・韓国の特許・商標出願」「Japan & Korea Patent and Trademark Filing」のように検索語を盛り込みました。すでに上位にある「일본 변리사」「a&j」のクリック率を引き上げる最も早い方法であり、Googleがページを再び収集した後から検索結果に反映されます。
- PPHページの強化:タイトルを「PPH(특허심사 하이웨이)란? 한·일 PPH 신청 방법」(PPH(特許審査ハイウェイ)とは?日韓PPHの申請方法)のように変え、最初の段落で意味を一文で答えたうえで、申請条件・手続き・期間を整理します。表示534回をクリックに変えることが目標です。
- 費用・期間の案内:日本の特許・商標・意匠出願の費用と期間を表にまとめた案内を作ります。費用を調べる検索語で1ページ目入りを狙います。
- 効果の確認:2週間後の9月27日ごろ、同じSearch Consoleの画面で、サイトマップのエラーの減少、日本語・英語URLの表示開始、国別の訪問割合を確認し、次の改善につなげていきます。
検索対策は、一度設定すれば終わりというものではありません。お客様が実際に入力する言葉は事業者が思い浮かべる言葉とは異なり、その差は公開後の数値を見て初めて見えてきます。今回の事例でも、事務所が予想していなかった「PPH」と「ㅔㅔㅗ」が次の課題を教えてくれました。
6. 同じ点検をあなたのサイトにも
THEVOSは、多言語CMS「VosCMS」を中心にホームページの制作と運用を行っています。検索対策(SEO・AEO・GEO)を最初から設計に組み込み、公開後もSearch Consoleの数値をもとに改善を続けます。13言語に対応し、海外のお客様にもそれぞれの言語で情報をお届けします。
「検索1ページ目なのにお問い合わせが増えない」「日本語・英語のページを作ったのに海外から見つけてもらえない」「AIに聞いても自社が紹介されない」と感じていらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
※ 本記事の検索数値は、Google Search Console(検索タイプ:ウェブ、直近3か月)の集計を2026年9月13日に確認したもので、9月13日の改善作業の効果はまだ反映されていません。PageSpeed Insightsのスコアは同日に測定した値です。検索順位やスコアは日々変動し、検索する地域・言語設定・ログイン状態などによって表示が異なります。同じ結果を保証するものではありません。
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